2006年05月12日

第4話 港町の落日

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Arlon兄さまが意識を取り戻したとき、既に町は夕闇に包まれておりました。

兄さまは意識を失っている最中、うわごとのようにカフェ『セイウチ』のことを繰り返されるばかりでした。
『セイウチ』と言えば、コインブラ(coimbra)にあるカフェの名前。

コインブラはグラナド・エスパダ大陸の玄関口とも言うべき港町。
きっと兄さまは新大陸を訪れ、初めてこの町に降り立ったとき、どなたかに良くしていただいたのでしょう。
心細い旅先での親切は、忘れがたいものです。
稀代の詐欺師と言えども人の子、鬼の霍乱とは言わないまでも、臥せった時には人の情にすがりたくなるものです。
それで無意識にその方の居る町と、関連の深い店の名前を口にしたのでしょう。

まあ、現実問題として病院に懸かるお金も無い僕達は、兄さまの恩人を頼る他なかったわけではありますが・・・。

 



カフェ『セイウチ』に居たのはリサ・リンウェイという女性。
む、奇しくもマイハニー、Lisaと同じ名前…ですがまあ、偶然でしょ。
何かの暗示ってわけでもなし…ねぇ。

 


そんなことより、兄さま。
この女性目当てにこのカフェに来たかっただけですか。

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確かに、兄さま好みの、「布が少くて美しい女性」です。

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リサ・リンウェイ 「あの、大丈夫ですか?具合、悪そうですけど…。」

すみません…ちょっと兄さまが体調を崩してしまいまして。
一休みさせて頂けると助かるのですが…。

リサ・リンウェイ 「それでしたら是非、お店の中へどうぞ。『セイウチ』名物のアボカドサンドとチョコラテでもお召し上がりになって、 ね?」

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きゅぴーん 

Arlon 「是非いただききます、美しいマダム」

兄さま…回復はやっ。
やっぱりお得意の狸寝入りだったのですね。

リサ 「でも、コインブラ近辺で行き倒れなんて最近珍しいですね。開拓移民が増えて街道も安全になったと聞いてましたのに・・・。」

Sena 「ええ、ちょっと、異常気象に巻き込まれただけですわ!ああ、自然って恐ろしい…おほほほほ」

そりゃイノシシが天から降るなんてねぇ…。未開の地とはいえ、開拓王でも思わないでしょ。

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何故ちょっと得意げですか、姉さま。


っていうか、姉さまは黙っててください。
ややこしくなるんで。

まさか病院にかかる金もなくここに辿り着いたとも言えず、ましてやこの時リサさんのご厚意と思っていた飲み物とサンドイッチに、 きっちり消費税&サービス料つきの料金がかかるとは思っていなかった僕たちは、基本にして古典とも言うべき 「皿洗い」を、生まれてはじめてここで体験することになるのです。

 

その頃。

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女 「Jan!Janはどこなの?」

男 「お嬢さま、桟橋で走られては…危険です!」

女 「煩い、えーと?」

男 「は、私の名は…」

女 「えぇい、めんどくさ。お前はガード君A。決定!」

男 「いや、私にはれっきとした…」

女 「おだまり、ガード君A!ここにJanが居るんでしょ?あんたもBustorのおじさまが付けて下さったあたしの護衛なら、 さっさとジャンの一人や二人さがしてらっしゃい!」

男 「御意!Lisaお嬢様!」

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Lisa 「覚悟なさい、Jan=Paul…私の玉の輿…うふふふふ」

もう1つの嵐が新大陸を席巻しようとは、開拓王でも予想だにしなかった事でしょう。

 

 

posted by Jan=Paul at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 華族の日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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